1月30日に幕張メッセにて開催されたゲームの祭典「闘会議」。その中でドワンゴ代表取締役会長の川上量生さんと、Ingress産みの親であるジョン・ハンケ氏の対談が実現しました。当サイトではその内容を「前編」「中編」「後編」の大きく3つにわけてお送りします。こちらは「中編」です。
出演者
ジョン・ハンケ / Niantic, Inc.c
川島優志 / Niantic, Inc.
川上量生 / 株式会社ドワンゴ
平信一 / 株式会社リインフォース
(Niantic, Inc.の須賀さんもいらっしゃいました)
※読みやすくするため、本文中では敬称略させていただいております。ご了承ください。
昔のゲームに思いを馳せる2人
平「ハンケさんがかなりゲーム好きでいらっしゃるという話を伺っておりますので、ゲーマーとしてのハンケさんというのを聞いていければというふうに思っています。ちなみに子供の頃にハンケさんがすごくハマったり、思い出に残っているゲームはどんなものでしょうか」
ジョン「子供の頃はいとこや妹達と一緒に、テレビゲームが始まる前の時代もありましたから、モノポリー、カードゲーム、チェス、ボードゲーム、そういったものをたくさん遊びました。
年上のいとこが居たので一緒にポーカーをして遊ぶのがすごく面白くて、ボトルのキャップをチップ代わりにして遊んで、その中でどうやってブラフをするかなどいろいろなことを学びました。
テレビゲームが出てきてからは沢山のゲームあそびましたが、すごく初期の、アスキーアートでシューティングゲームをするようなものであったりとか、アステロイド、パックマンなど沢山のゲームで遊びました。」
アステロイド:1979年にアタリが作ったアーケードゲーム用テレビゲーム。
パックマン:ナムコより1980年5月22日に発表されたアーケードゲーム。2015年のエイプリルフールにはIngressもパックマン仕様になりました(エージェントもはしゃいでました)。
IngressはMMOの自然進化
ジョンが過去に作ったゲーム『Meridian 59』Photo:Mika1h
平「若いころに、オンラインゲームを作られてきたという経歴があるじゃないですか、その経歴はどれだけIngressのゲームシステムやルールに繋がっているのか、ちょっとお聞きしてみたいなと」
ジョン「作っていたMMORPGは仲間たちと一緒に作ったものですが、Meridian 59というものでそれは何十人者プレイヤーが同時に参加してプレイするゲームですが、技術的な部分でも革命的だと思いましたが、それ以上にゲームの中でアバターがいて、表情を作ったり手をふったり、様々な形でコミュニケーションがゲームの中でできるというのが、自分にとってすごくエキサイティングで、新しい体験に思えました」
川上「『Meridian 59』って、ウルティマオンラインの前の、MMOでも世界でほぼ一番始めぐらいのゲームですよね」
ジョン「そうです。ウルティマオンラインより前で世界でも最初のものです」
川上「僕も日本からアクセスしました」
ジョン「Oh! Really!? Wow! ありがとうございます」
川上「人と遊ぶゲームの方が、コンピューターゲームより昔から好きだったんですか?」
ジョン「はい、そうです」
平「当時のオンラインゲームって現実世界と全く別の仮想世界で遊ぶという世界観じゃないですか。そこから当時MMOを作って、そのまま仮想世界のゲームを作らずに、Ingressのような逆に現実とリンクしていくようなゲームを作ろうと思ったきっかけや転機はありますか?」
ジョン「ここに集まっている方も沢山のオンラインゲームをプレイしていると思いますし、私も好きですが、ゲームの中でギルドを作ったり結婚したりしますが、一日が終わった時に”何か現実とは違うんじゃないか”と思ったりすることがあります。
でもその時(仮想世界のMMOを作っていたとき)はモバイルのスマートフォンもワイヤレスもなかったし、他にそういうこと(Ingressのような現実と結びついたゲーム)をする方法がありませんでした。そういう技術の進化に伴ってできるようになったことが、MMOの自然進化なのではないかなと私は考えています。実際にリアルな人とコミュニケーションをとって、経験を共有したり、感情を共有したりということが現実世界で起こる、そういう事がリアルな進化の方向性になっているのではと思います。
(この会場に)これだけ沢山の人がきていることこそが、その証拠なのではないかと思っています」
ボードゲーム談義に花が咲きすぎる
川上「リアルな体験をするゲームというと、コンピューターを使わないボードゲームがありますが、ボードゲームはよくプレイされますか?例えば『D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)』といった…」
ジョン「ボードゲーム大好きで愛しています。子供の頃はそういったクラシックなボードゲームで遊びましたけども、大学に入ってからは『リスク』というボードゲームで遊んでいました
『ディプロマシー(※)』なんかは、すごく好きでした。まず人を信頼するところから始まって、でもそこから取り返したりとか、Face to Faceでコミュニケーションしながら時に競い合い、話し合い、という要素が大好きです
家でも子どもたちと一緒に『チケット トゥ ライド』というゲームであったりとか」
※コメント欄・フォームから教えてくださってありがとうございます。
川上「僕もすごくボードゲームが大好きなんですけども、悩みなのが、周りにボードゲームをする人がなかなかいないので相手を探すのが大変でした。ハンケさんはどうでしょう?」
ハンケ「いっぱい社員の人がいるじゃないですか(笑)彼らは好きじゃないの?」
川上「今はいます!でも昔はいなかったです(笑)」
ハンケ「確かに難しいですよね。私も子供の頃プレイするときは年下の妹と2人で遊んでましたから、大したボードゲームは遊べないのです。なのでいとこが来た時は本当に楽しくて、ボードゲームを3,4日ずーっとやり続けたりもしました
時にはボードゲームをビデオゲームの中でプレイするようなことも、最近やられていますよね」
川上「僕がネットゲームをやっていたのは、本当はボードゲームをやりたいだけで、ネットを通じてできればいつでも遊べるんじゃないか、というのが僕がコンピューターゲームをやっている唯一の理由なんです。僕の夢は巨大なiPadでボードゲームをやることなんです」
ジョン「すごくいいアイデアですよね。複雑なゲームルールを覚えていられないので、iPadがすごく助けになってくれると思います。ドイツとかだとボードゲームのパーツそのものが魅力的で、それを引っ掻き回してやるのがすごく楽しいので、それと同時に遊べるようになると最高のものができると思います」
川上「それです!!それがやりたくって!!コマとかはフィギュアで動かして、難しいルールの計算だけをコンピューターにやってもらいたい」
ジョン「それですよ。ドイツのゲームはすごく細かいディテールに凝っているものが多いので」
ゲームの面白さは、過程
ジョン「すぐとなりでボードゲームを沢山の人がプレイしていますよね」
川上「はい。明日あそこで僕も1日じゅうゲームをしようと思っています。会社にゲームをする人沢山いるんですけど、彼らとはゲームはしたくない。なぜなら彼らはゲームをやりすぎていて、僕がやっても負けるんですよ。だから僕が必要なのは、ゲームは好きなんだけどあまりやっていない人」
ジョン「HAHAHA」
川上「だからいつも友達とは、新しいゲームをやることにしています。勝ったり負けたりという事件が起こったほうがいいじゃないですか。ゲームがおもしろいと思うのは、勝ち方・ルール・遊び方を覚え、発見していく過程が一番楽しいと思うんです」
ジョン「食べたり飲んだりしながら遊ぶのもすごくいいですよね。何時間か楽しみながらやるといった」
川上「世の中で一番遊ばれているゲームというのは、日本だと麻雀、トランプ、カラオケとかもそうだと思うんですけど、一番楽しいのはその時の友達とのコミュニケーション」
ジョン「バックギャモンとかはプレイするの好きです。なんでかというと戦略が必要なんですけど、それほど複雑ではないから。ちょっと前にギリシャを訪れたときに、カフェで見かけた光景で、いろんなご老人の方々がバックギャモンをずーっとやっているのを見て、私もあんなふうに老後を送りたいと思ったりします(笑)」
(´-`).。oO(Ingress誕生の背景が見えてきますね)